・・・・・魂のルネッサンス 心と魂の解放 ・・・・・
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盆栽や日本庭園を育んだ能力


「たましい」と言う言葉を充分に深く理解していると、
これを補助線にして、普通なら高度で難解な思想も、理解しやすくなります。
難しい西洋哲学や高尚な西洋文学にも肩を並べる境地に立てます。
「武士道解題」(参考書@)を読み解くときには、
更に「思いやり」の深い理解も必要でしが、基本は、「たましい」の理解です。

こう言う説明をしますと、「たましい」を理解するのは、随分難解ではないか?
と心配なさるかもしれませんが、大丈夫です。
健全で平凡な日本人であれば、たやすいことです。
今まで無意識だった能力を、意識して働かせるようにすれば良いだけの事です。
日本人にとって、魂は身近な存在、オカルトとは程遠い存在です。

日本人は、虫の鳴き声、鳥のさえずり、物音にさえ、豊かな感受性を示します。
盆栽や日本庭園の良し悪しを見分ける目も、自然に備わっています。
それも、かなり高度な感性をお持ちです。
たった一鉢の盆栽に、気品や力強さ、大自然の生命力を感じ取ることができます。
この感性を精緻に鍛え上げた方々が、庭師です。
この感性で捉えるものが魂です。

日本庭園は、人工的に造られるのに、
そこには、大自然の複雑な様相と、心を癒す生命力や簡素な気品が漂います。
日本に独特なものであり、諸外国にはこのような庭園はありませんでした。
西洋貴族の庭園は、幾何学的なものが一般的でした。
中国の庭園も、人為的な作為が目立ってしまっています。

日本人にとっては平凡でありながら、世界から見れば驚嘆すべき能力、
この能力はどこから生まれるのでしょうか?
私は、日本語にその秘密があると考えます。

生き物の鳴き声、物音、邦楽の楽器音を、日本人は言語中枢である左脳で処理するのに、
他の国々の方々は、右脳で処理すると言う科学的調査があります。(参考書A)
幼い頃から日本語を母国語として育つと、人種や性別に関係なくこうなるそうです。
音声ばかりでなく、景観や魂を感じる能力にも影響していると推察します。

この様な捉えどころの無さそうな魂を、あえて科学的に説明しようと、
魂とは」の節で解説を試みましたが、日本人には逆に分かりにくかったかもしれません。

なぜ、日本語はこのような特殊な言語になっているのでしょうか?
日本語の起源についての学説は、いまだ混乱状態です。
日本語として遡れるのは、はっきりしているのは飛鳥時代までであり、
推測できるのは、縄文時代までのようです。

今の日本の文化や言語の基底部分を構成しているのは、縄文時代の文化や言語です。
弥生時代の特徴である農業も、縄文時代には陸穂などが既に栽培され実施されていました。
弥生時代を発展させたのは、水田という農業土木技術と水穂と言う新品種の導入です。

縄文人が弥生人に駆逐されたのではなく、縄文人の中に大陸からの弥生人が徐々に入り、
混血していったと考える方が、文化や言語から見ても自然なようです。
考古学的な出土品の調査やDNA分析からも裏付けられてきています。
縄文時代の文化や言語が大勢を占める中に、
弥生人の文化や言語が徐々に混入して行ったと考えます。

では、日本の文化や言語の基底部分をもつ縄文人は、どこからやって来たのでしょうか?
日本人の人種構成と海外の人種構成との比較も、はっきりし始めてきました。
(男系のY染色体や女系のミトコンドリアの分析、伝染力の弱いウィルスの分布調査)
顔立ちなど骨格の比較も合わせて検討すると、
縄文人は、人類史の中でも、非常に古い人種の直系のようです。(参考書B)

アフリカ起源の人類が、ヨーロッパとアジアとに、それぞれ分化する前の古い人種で、
ユーラシア大陸では絶滅した人種です。
オーストラリアのキーロー人、アメリカのケネウックマンとの類似性もあるそうです。(参考書B)

感染力微弱のHTLV1と言う白血病ウィルスは、ユーラシア大陸ではほとんど見つからず、
日本人に高頻度に見つかり、他には、オーストラリア・アボリジニ、パプアニューギニア、
フィリピン、そして、南米の先住民にも見つかっているそうです。
アジアに広がる新モンゴロイド人種や古モンゴロイド人種より更に古い、
『先モンゴロイド人種』の直系が、日本人の中に入っている事を表しています。(参考書D)

・・・・・・・・・・・・・・・・(2010年8月11日追記)


縄文の前の旧石器時代に、マンモスを追い、北から日本列島に来た人種がいます。
この時、ナウマンゾウを追い、西から日本列島にやってきた人種もいます。
しかし、縄文時代にはそうゆう大型動物は取り尽くされ、中型小型の動物を狩猟していました。
旧石器時代に、既に入っていた人種が、狩猟の形態を変え、縄文人になったのか?
この人種とは別に、新たな狩猟技術をもった縄文人が日本列島に入ったのか?
旧石器人は祖先の大勢でないとしても、やがて縄文人に吸収された可能性はあります。
これは、日本語の起源に、アルタイ語との共通性がある事とも、一致します。

縄文人の特徴をもった人種の痕跡が朝鮮半島の南端にも残っていること、
縄文時代の三内丸山遺跡の様子から、海の漁労とも関係していた事が分かっており、
縄文人はある程度、航海術も心得ていたようです。
旧石器時代とは別の人種が、海を渡って来て、縄文人になった可能性もあります。
日本語の基礎語彙に、インドネシア語、カンボジア語、ネパール語、ベンガル語(※)
との共通性が多い事とも、一致します。(参考書C)

いずれにしても、縄文人は、人類史の上で、とても古い人種の直系であり、
ユーラシア大陸やスンダランドの古い言語と文化を色濃く承継していると考えます。(※)

縄文人の言語や文化を色濃く承継している現代の日本には、
ユーラシア大陸とアメリカ大陸に広がる前の祖先の文化まで、
しぶとく承継され、息づいているはずです。

マンガに代表される現代の日本文化が、なぜ、これほど世界のブームになるのか、
世界中の子供達の本能に、なぜこれほど訴えるのか、その要因にもなっていると思います。

他の民族には少ない、魂を直感できる能力も、古い時代の人類がもっていた能力で、
日本人一般が、これを奇跡的に受け継ぎ、残しているのかもしれません。

(※2010年7月12日訂正)


参考書
@李登輝著 武士道解題 2003年 小学館
A角田忠信著 日本人の脳 1978年 大修館書店
BNewton 日本人の起源 最新版 2009年 ニュートンプレス
C安本美典著 日本語の起源を探る 1985年 PHP研究所
D後藤明著 海を渡ったモンゴロイド 2003年 講談社





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