【独創的なアイディアを活かす】
全員がリーダーになれる組織は、ことわざで言う通り、
「船頭多くして、船、山に登る」になりかねないと、心配になるかもしれませんね。
意思決定に時間がかかり、機動的でないと心配されるかもしれません。
確かに、呼吸が合わないうちは、そのような事も起こるでしょう。
役割分担と言う共通の了解があれば、その弊害は制御できますし、
更に、そのデメリットを上回るメリットがあります。
それは、メンバー個々の独創的なアイディアを活かし伸ばす点にあります。
「質の経済」で、独創的な付加価値が求められる時代では、
時間のデメリットより、付加価値と言うメリットの方が、はるかに大きなものになります。
尚、付け加えれば、従来のピラミッド型からずれた、このような緩い組織でも、
メンバーの呼吸が合うようになれば、意思決定や機動性でも劣らなくなります。
その証拠として、参考書@では、アメリカ軍が、このような組織を、
変化が多く、臨機応変な対処が必要になる実戦部隊に導入している実例を紹介しています。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(2009年12月11日追記)
2010年サッカーワールドカップの日本代表チームの善戦ぶりをご覧になったでしょうか?
全員が、自分のポジションから、リーダー同様に判断しながら、動き、ボールをさばき、
自分の個性、得意技を発揮しながら、他の人の個性、得意技を引き出していました。
堅い守備を優先し、カウンター攻撃で、鋭いパス回しから、ゴールに圧力を掛けるという考え、
この攻守の軸、中核になる方針は、激論と紆余曲折の末、やっと全員で共有できたものです。
全員がリーダーでありながら、信頼し合い、心を一つにすることが出来きました。
『船頭多くして、船、山に登る』という喩えは、指示命令型のピラミッド組織を基にした話です。
船頭が多い事を恐れていては、あの臨機応変で、俊敏なチームワークは不可能でした。
創造的な価値を産むには、組織の中に、サッカーチームのような要素が必要になります。
参考書Aでは、リーダーが自説に拘らず、メンバーの言葉に耳を傾け、
リーダーが自分の立場から降りてゆき、メンバーに寄り添って真意を理解する事、
リーダーが自分の中の貫くべき所を絞り込み、これだけは守り通す事、
これを具体的に語っています。
参考書Bでは、自分の中の貫くべき軸、中核、すなわち「コア」を、いかにして見つけるか、
具体的に説明しています。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(2010年7月1日追記)
チームでは、「コア」、中核になる方針を、リーダーの独断専行で決め、押付けるのでなく、
全員の議論の中から発見します。
それぞれの考え方を、忌憚なく話し、見下すことなく耳を傾け、この中から、
全員の心の中に、段々湧きあがってくる、共通項、最大公約数を見つけ出すものであり、
各主張を足し合わせた曖昧な玉虫色の妥協、最小公倍数を見つけるものではありません。
少数意見でも忌憚なく話すには、話し手が自信の有無にかかわらず発言できる必要があり、
少数意見でも見下すことなく耳を傾けるには、聴き手が自分の考えに縛られない余裕が必要。
それには、話し手にも聴き手にも、全員に、自己受容の心理が働く雰囲気作りが必要です。
各自が、自己防衛的なヨロイで、心を覆っていたら、議論の収集がつかなくなります。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・(2011年3月15日追記)
全員がリーダーとして考え、行動しようとするチームに不可欠な事は、
関係分野について、最前線の現実も含めた共通認識、求める理想像の共有。
これを得る為の徹底したコミュニケーション。
少数意見にも耳を傾け、多様な考え方や意見、疑問を柔軟に受け止める心のゆとり。
メンバーの一人ひとりが持つ、様々な背景に対する理解、すなわち思いやり。
この思いやりに基づいた、心に届きやすい言葉。
押し付けではなく、心を開き、心に届くコミュニケーションから生まれる総合的判断、納得。
主体性、自主性を活かし、全員がリーダー同様に判断し、行動できるようになるはずです。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・(2011年1月17日追記)
参考書
@ 心の操縦術 苫米地英人著 2007年 PHP研究所
A 変革は、弱いところ、小さいところ、遠いところから 清水義晴著 2003年 太郎次郎社
B 小さな会社がNo.1になれるコア・ブランド戦略 加藤洋一著 2010年 PHP研究所
C 管理がうまいと会社は潰れる 増原喜彦著 1985年 祥伝社
+α 指導しなくても部下が伸びる 生田洋介著 2013年 日経BP ・・・・(2013年2月14日追記)
参考URL
岡田ジャパンに学ぶ、強いチームの作り方 2010年6月28日 ビジネス通信「誠」
サッカー日本代表チームはこうして甦った 2010年7月10日 NHKスペシャル
社員30万人全員をリーダーにする 2009年10月1日 日経ビジネスONLINE
指導しなくても部下が伸びる 2013年1月23日 日経ビジネスONLINE・・・(2013年3月追記)
【リーダーシップについて】
全員がリーダーの組織なら、複数の課題や任務を、同じチームでこなすのも楽です。
チーム内では、課題や任務毎に別の人がリーダーになり、他の人は、その部下となる。
5〜6人程度の単位で、グループを組んでみては如何でしょう。
(詳しくは、参考書@P87〜98をご覧ください。既に、お読みかもしれませんが
「真実のリーダーとマインドオペレーション」と、副題のついた本です。)
リーダーが固定的な組織では、部下とリーダーの相性が悪ければ、
部下は、自信を失い、能力も開花しません。
あるいは、1人の部下も持ったことのない人に、部下を指揮する苦労は想像できません。
リーダーの気持が分からないと、部下からリーダーへの報告・連絡・相談も的外れになります。
そのような部下を持つリーダーは仕事も進みません。
一つのチームで、リーダーが交代制であれば、リーダーの役割と苦労を知り、
お互いに助け合う雰囲気ができます。
また、皆が互いを多面的に知り、相互評価、意識の向上にも役立つでしょう。
各人のリーダーの適性を測り、幹部候補生を見出すこともできますから、一石二鳥です。
スキルアップや目的達成の為に、自ら勉強する姿勢も自然と身に着くはずです。
自分の考えを持たず、上から言われなければ動かない、指示が無ければ準備さえしない。
時代の変化に対応する必要が生じたり、新しい制度が出来ても、
それが現場レベルで動き始めるまでに、さんざん時間がかかるのは、
組織の末端にも幹部にも、自ら勉強する姿勢が足らないのが原因です。
経験の少ない人が、チームのリーダーになって大丈夫か、
不安視されることもあると思いますが、
課題や任務の難易度に応じてリーダーを決めれば、問題ありません。
法令で、資格を求められる役職以外は、理屈の上では、誰もがリーダーになれるはずです。
「俺が、何であいつの部下なんだ。」と、憤る人は、権威主義にとらわれており、
目的達成と言う本来の意識が欠如しています。
リーダーとして必要な能力の一つに、ゲシュタルト能力があります。
課題を幾つかの要素に分解し、一つ一つの要素を臨場感をもって把握すること、
個々の要素をマッピングしつつ視点を高くし全体を俯瞰して問題の核心を感じ取ること、
この両方ができてゲシュタルト能力が完成します。
そして、判断する時には、自分の煩悩に引きずられないこと。
(詳しくは、参考書@P58〜86及び第4章をご覧ください)
会社のような組織の場合、多岐に渡る業務を整理して、人員配置を柔軟に行い、
一方では、サービスの質を落とさない為には、組織改革は避けて通れないでしょう。
あるいは、市民活動のように、個人の善意や熱意に頼る場合も、
その熱意を維持しながら、効率的に動ける組織作りが欠かせないでしょう。
このチーム制を導入すれば、業務分担と人員配置を柔軟に行えます。
参考書(2010年5月2日追記)
D リーダーシップからフォロワーシップへ 中竹竜二著 2009年 阪急コミュニケーションズ
E リーダーシップ・チャレンジ ジェームスMクーゼス他共著、伊東奈美子他訳、2010年 海と月社
F こうして企業を活性化する 伊東勝啓著 1997年 日本教文社
参考URL(2010年5月2日追記)
チームビルデングを目指す
団体・グループ活動におけるリーダーシップ
リーダー像に異変あり 日本は「強制型」アメリカは「調整型」
社会心理学 個人と集団 リーダーシップ
T運輸 班長の交代制
日吉本町開善保育園 (X-3職員のモチベーション維持、1週間程度ずつ交代制リーダー)
普通の人のためのリーダーシップ 2013年3月12日 日経ビジネスONLINE(2013年3月追記)
【集団主義の弊害】 ・・・・・・・・・・・・・・(2011年12月18日追記)
古今東西を問わず、人間が子孫を絶やさず生きていくには、集団をつくる必要がありました。
その集団の最小単位として、人類特有の家族の形態を選んだのが、現生人類です。
集団の人数が増えると、力を合わせて大きな事もできます。
このとき、効果的に力を合わせていくのに威力を発揮するのが、組織というもの。
この大人数の集団活動については、世界各地域により、それぞれ特色があるようです。
西洋では、独りでは目的を達成できそうもないとき、初めて組織に目を向ける傾向とのこと。
日本では、目的達成の為というより、何となく集団に属し、そこに安心感を見つけます。
ところが、西洋では、集団の中にいる事は、逆に緊張感が高まるそうです。
参考:リーダーシップからフォロワーシップへ 中竹竜二著
日本列島では、3万5千年前から大集団での活動が活発に行われてきました。
縄文時代にも弥生時代以降にも引き継がれ、集団の中の方が安心になったのでしょう。
大集団の活動という点では、日本文化の方が、西洋文化より3万年ほど先輩かもしれません。
しかし、この日本人の集団主義的な心情が、常に上手くいくとは限りません。
第二次世界大戦の前も後も変わっていません。
制御がきかない関東軍の暴走、満州事変やシナ事変への拡大。
そして、無謀な大東亜戦争へ。
党利党略に明け暮れる政党。省益あって国益なしの官僚集団。
いずれも、自集団の面目を優先して、広い視野を失い、進路を見誤ったもの。
【集団主義の弊害の克服】 ・・・・・・・・・・・・・・(2011年12月18日追記)
物事を成し遂げようとするとき、色々な考え方やアイディアが必要ですね。
モデルがあって、その真似をすれば良い場合は別ですが、
モデルが無ければ、色々なものを並行して検討しないと、物事は上手く運びません。
複合的なことほど、そうですね。
色々な考え方やアィディアを併存させながら、交通整理し、結びつける必要があります。
それには、長期的な目的と短期的な目標の設定が、まず必要。
短期的な目標があると、ささやかながらも達成感が頻繁に得られ、励みになります。
長期的な目的があると、情勢が変化しても、短期目標の変更が容易になります。
目的を明確にしたうえで目標を設定し、色々な要素を交通整理し、結びつけます。
単独で行うときも、大勢で行うときも同じです。
参考:マインドマップ、ブレーンストーミングとKJ法、ファシリテーション
全員がリーダーと同じように主体性をもって考える組織であれば、
目的と目標を全員で納得し共有する必要があります。
トップダウンで動く組織であれば、
目的は、トップに近い幹部が承知していれば十分で、
組織の下部に降りていくにつれ、細分化された目標に従って動けば良いでしょう。
トップダウンで動く組織が、集団主義的な心情をもっていると、
細分化された目標を与えられたグループごとに、
別々の仲間意識をもちはじめ、別々の集団を作り始めます。
自集団の面目にこだわり、目的を忘れたかのように、派閥争いが現れます。
目的を見失うと、
短期的な目標を、長期的な目的と取り違えて、どんどん脇道にそれ、戻れなくなったり、
集まった色々な考え方やアイディアの交通整理ができなくなります。
全体の総合的判断が混乱し、機能不全になります。
目的に反する手段まで使われかねません。
集団主義的な心情をもった組織では、
この弊害を克服する為に、全員で納得して共有する、目的と目標が必要になります。
全員がリーダーと同じように主体性をもって考える組織として機能できます。
【コミュニケーションの基礎体力】 ・・・・・・・・・・・・・・(2011年12月20日追記)
色々な考え方やアィディアを次々提案してもらいながら、併存させるには、
コミュニケーションに参加する人、特に、司会役・聞き役には、心の柔軟性が必要です。
自分の意見にこだわったり、他人の意見に批判的になっては、色々な意見は集まりません。
「突拍子がないかも?」と、思っても、怖がらずに言い出せる雰囲気が、先ずは必要です。
参加者にも、心の柔軟性があると、いいですね。
自分の意見とは、反対の意見が出てきても、
過敏になることなく、落ち着いて耳を傾ける柔軟性です。
心が、二者択一や二項対立の方向に向かってしまえば、心は堅くなってしまいます。
色々なもの、相対立するものをも併存させる、懐の深さ、心の柔軟性が必要。
それには、「認められたい、否定されたくない」と言う気持ちを、一旦脇に置く必要があります。
「優れた所を見続け、良い気分でいたい」、「劣っている所を認めたくない」
と言う気持ちを脇に置き、等身大の自分を落ち着いて受け入れる、穏やかな心が必要です。
それは、自己受容する心です。
参考:目からウロコの『自己受容』、『自己承認』
落ち着いて耳を傾ければ、相手が言う主旨をキチンと受け止める事ができます。
コミュニケーションは、発信すること、受け止めること、二つが対になって成り立ちますが、
「話し方教室」はよく見聞きするのに、「聞き方教室」はめったにないですね。
丁寧に良く耳を傾けていることが、相手に伝われば、話しやすい雰囲気が生まれ、*
この安心感から、相手の人は、自分の考えや気持なども素直に話せるようになります。*
この「聞き方」は、大切な要素です。 (「*」印の2行2015年2月17日訂正)
参考:対話法研究会
【対立の越え方 〜 多様性の活用】
(2011年2月6日追記)
これまでに記述してきた事は、目的ないし目標を共有し、
互いに協力して達成しようという意欲を持った集団内では通用します。
しかし、このような一体感が生まれていない間柄、
あるいは、一体感が崩れてしまった間柄では、もう一つ工夫が必要になります。
対立があっても、自分からは歩み寄ろうとせず、相手の妥協を引き出そうとする。
異なる目的を持つ相手がいて、片方の目的達成が、もう片方に不利益をもたらす。
あるいは、事なかれ主義で、対立の表面化を恐れ、それぞれの勝手にさせている。
当面は、現状のままで困る事が無く、早急にまとまる必要はないと思っている。
こんな状態が続き、解決が長引いたりするのは、ありがちな事です。
例えば、行政組織や大企業。潰れる心配をせず、集団内(縦割り)の対立は長引きます。
明日をも知れない危機感を共有できれば、目的や目標の共有は、比較的容易でしょう。
しかし、普段は危機感もなく、いわゆる平和ボケといわれる状態では容易ではありません。
まして、多様な価値観、多様な考え方の者どうしが共存していれば、尚更であり、
目的や目標を共有できる段階に到達するまで、広く深く協議を重ねていく必要があります。
このような対立を乗り越え、苦労しながらも協議を続け、目的や目標を共有できれば、
多様な価値観、多様な考え方の結集が、豊かな智恵となり、高度な成果に結実します。
これは、【独創的なアイディアを活かす】で、説明したとおりです。
この苦労を嫌って、独裁的ないし専制的な進め方をしたのでは、豊かな智恵は集まりません。
対立していても協議を続け、妥結に至るには、どのようにしたら良いのでしょうか。
経済が成熟段階に達し、多様性を認めている社会では、これが何にも増して重要になります。
対立を続けていると、ついつい感情的になってしまいがちなもの。
落ち着いて協議を進めていくには、コツが必要なようです。
順序はバラバラですが、幾つか、挙げてみます。
・ 対立相手に関する理解を深める。(例えば、主張の元になった相手のニーズ)
・ 問題点の捉えなおし。(問題と思っていた事に、ピンボケや的外れはないか。)
・ 人様の見解を吸収して幅広い視野を学ぶ。
・ 人様の発想やアイディアの価値も認め、新しい発想やアイディアを得る。
・ 率直で誠実な情報開示。(適切な自己表現も)
・ 共有できる観点を探り合い、共通に理解できる部分を広げる。
・ ネガティブにさせやすい言動を慎み、ポジティブにさせやすい言動をとる。
・ 怒りの沈静を待ち、相手の面子を保ちながら、自分の要望を伝える。
・ 自分の現状を正確に受け止め受容し、ここから出直す気持ちで、心にゆとりを持つ。
コツを詳しく学びたい方には、下記の参考書籍をお勧めします。
参考書
M ファシリテーション入門 堀公俊著 2004年 日経文庫
N コンフリクト・マネジメント入門 鈴木有香著 2008年 自由国民社
参考URL:ダイバーシティー(多様性)について・・・・・・・・・(2012年12月4日追記)
・詳しい意味の解説 http://www.blwisdom.com/word/key/100662.html
・日本のダイバーシティー(多様性)
間違いの部分 http://business.nikkeibp.co.jp/article/pba/20081024/175047/
阻害してる部分 http://business.nikkeibp.co.jp/article/pba/20081029/175635/
【コミュニケーションの型について】
全員がリーダーの組織を上手く機能させるには、コミュニケーションが鍵になります。
興味を持ってもらう、理解しやすいと感じてもらう為の一つの技術があります。
物事を理解しようとするとき、人はそれぞれ、自分に馴染んだアプローチがあり、
これを「ソーシャル・スタイル」と言います。
長く組んでいるチーム内でも、意外と意思疎通できていないことがあります。
メンバー個々のタイプを無視して、型通りのコミュニケーションで済ませる為かもしれません。
個々のタイプを見つけるときにソーシャル・スタイルを手掛かりにすると良いでしょう。
これを一般向けの本で日本に紹介したのが、「枝廣淳子」氏です。・・・・(参考書G)
( 枝廣氏は、環境ジャーナリスト、翻訳家、(有)イーズ代表など多方面で活躍され、
地球温暖化で大きな反響を呼んだ「不都合な真実」の書籍版も翻訳されています。)
「ソーシャル・スタイル」は、「心の合い鍵の見つけ方」と言う翻訳本で紹介されています。
プレゼンテーション技術や広告、セールスにも活用され、
その道のプロの間では、お客様にスムーズに納得して頂く方法として、重宝されています。
この本によると、「折衝・交渉」を行うときの心理的習慣には、
「聞取り先行」で折衝するか、「主張先行」で折衝するか、の傾向があり、
この両極端の間のどこかに、人それぞれ自分の馴染んでいる心理的習慣がある。
他の人と「協調」した動きをしようとするときの心理的習慣にも、
「仕組み先行」で考えるか、「心情先行」で考えるか、の傾向があり、
この両極端の間のどこかに、それぞれ馴染んでいる心理的習慣がある。
この傾向を、グラフの縦軸と横軸にして、分類すると、
全ての人は、4通りの傾向に分かれると言うものです。
同じ説明を受けても、4つのソーシャル・スタイルそれぞれ、
最初に着目し引き込まれる部分が異なります。
その説明から受ける印象に、人それぞれズレがあるのは、当然のことです。
また、説明するときも、どんな事から先ず説明した方が、興味をもって頂けるか、
ソーシャル・スタイルにより異なります。それが、説明の効果にも強く影響します。
一人に説明する場合は、その人のソーシャル・スタイルに合わせた説明方法が効果的です。
ところが、複数の人に集まって頂き説明する場合、
ある1つのソーシャル・スタイルの人には、興味を引く説明ができても、
他の3つのスタイルの人からは興味をもってもらえないと言うことが、しばしば起きます。
理想的には、4つのどのスタイルからも興味をもって頂きたいのですが、
簡単にできる事ではありません。
説明の方法や内容について、色々な意見があるはずですが、
どれが一番で、他はとるに足らないと否定したのでは、
限定的な効果しか期待できません。
色々な意見を上手に取り入れ、説明の構成を考えていく必要があります。
したがって、説明の全体構成を考える時には、最低でも4人の意見が必要で、
その4人が異なるソーシャル・スタイルを持ち、意見が違っている事を前向きに考えるならば、
必ず良い説明をすることができます。
また、書籍がすぐ入手できない場合は、下記のURLも参考になります。
なお、交わる二つの軸について、
私の呼び方は、枝廣氏の翻訳通りではありませんが、より適切な訳語を付け直しています。
どう呼ぶか、色々と見解の相違はありますが、
4つのスタイルについての見解は、大体一致しています。
参考書
G 「心の合い鍵」の見つけ方 ウィルソン・ラーニング編著、枝廣淳子訳 2008年 東洋経済
参考URL
室伏順子氏の作っているURL
http://www.sophia-h-c.com/communi/rensai_syo/rensai13/09.html
自称、「ビジネス書のコンソルジュ兼脱サラ税理士」のsmooth氏のページ
http://smoothfoxxx.livedoor.biz/archives/51512390.html
【男性脳・女性脳の違いを超えて理解を深めるには】 ・・・・・・(2010年4月25日追記)
コミュニケーションについて、少し補足します。
個人差を、大まかに4つのタイプに分類しましたが、
これだけで全て理解しようしても、まだ釈然としない部分が残るはずです。
男性脳と女性脳の平均的な姿には、それぞれ特徴があります。
「生まれたとき、人の脳は中性であり、育て方により男女の傾向に矯正される。」
という空想により、男女の相互理解や自然な子育てが阻まれてきました。
医療検査機器が進化し、脳には生まれつきの男女差があるのが明らかになりました。
この違いも理解していると、意思疎通はとても楽になります。
従って、前述の2つの比較軸「協調のとき」「交渉・折衝のとき」に加えて、
「脳の構造」の比較軸(男性的な脳・女性的な脳)も加えて下さい。
つまり、3つの比較軸で、3次元となり、立体的な8分類になります。
但し、男女の違いは、あくまで、平均的な傾向であり、男性は皆こんなもの、女性は皆こんなものと、決めつけるのは間違いです。一人ひとりで違う部分、バラツキの幅は、随分とあります。全男性のバラツキの幅全体、全女性のバラツキの幅全体、この二つの間に、大差は無いはずです。(2010年11月20日追記)
参考書
H 女はなぜ突然怒り出すのか? 姫野友美著 2006年 角川oneテーマ21新書
I 男はなぜ急に女にフラれるのか? 姫野友美著 2007年 角川oneテーマ21新書
J なぜ男と女は4年で嫌になるのか 姫野友美著 2008年 幻冬舎
K 男の子の脳、女の子の脳 レナードサックス著、谷川漣訳 2006年 草思社
L 妻はなぜ夫に満足しないのか 安岡博之著 2007年 角川oneテーマ21新書
参考URL
女の会話・男の会話〜ジェンダーコミュニケーションの謎〜(伊藤明美教授)
http://www.urahoro.jp/sosiki/matidukuri/pdf/danjoH20.1.31.pdf ・・・(2011年3月12日追記)
【公正な判断】
(2011年3月15日追記)
全員がリーダー同様に判断し、行動できるチームや組織が出来ても、
それだけでは、未だ、安心できません。
自分達だけに通用する、組織の都合、内輪の都合を、そのまま世間で通そうとする危険です。
これでは、世間の理解は得られず、支援者、応援者の気持ちも離れて行ってしまいます。
チームや組織の力が弱いうちは、世間の評価を気にしています。
(例えば、明治維新後、日露戦争終結までの日本は、世界からの評価に敏感だった。)
ところが、強さを自覚するほど、世間の評価は二の次になり、要注意です。
(例えば、大企業病に蝕まれた会社、第二次世界大戦に嵌り込んでいく大日本帝国。)
他者の評価に戦々恐々としているのは、心の面では病的ですが、自信過剰も困りものです。
優れた面も、劣った面も、丸ごと認めて受容する、「自己受容」の心が、
自信過剰も防ぎ、戦々恐々の不安も防ぎ、バランスをとる働きをしてくれるように思います。
チームや組織の外側から、様々な意見が寄せられるでしょう。
称賛もあれば、非難もある。
親身になっての提言もあれば、やっかみ半分の嫌味もあるでしょう。
その全てが、参考に出来る面をもっています。
一つひとつの意見にある全ての言葉を真に受けて、あたふたする必要はないでしょうが、
その全てに、わずかであっても、一理あり、何らかの示唆を読みとる事ができるはず。
自己受容の心が無いと、わずかな一理や何らかの示唆は読みとれません。
わずかな一理や何らかの示唆を読みとれれば、組織の都合、内輪の都合に偏らない、
公正に近い判断が可能になるのではないでしょうか。