・・・・・魂のルネッサンス 心と魂の解放 ・・・・・
< コ ラ ム >

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<質の経済>新たな資本主義の段階


世界から貧困をなくす道のりは、
産業を世界に広げながら、富も世界に広げていく道のりです。
先進国が新たな産業分野に挑戦しながら、古い産業を新興国に譲っていく道のりです。

しかし、資源の配分には限りがあり、先進国への資源配分は減少します。
資源は、鉱物、エネルギー、食料、そして、酸素にまで及びます。
経済力のある国が、資源をより多く購入できていた、
一部の豊かな国だけが、資源を大量消費できた時代は、終わろうとしています。
世界中に富が広がる事で、資源も広く薄く分け合っていく時代が始まろうとしています。
先進国は、豊かさから見放されてしまうのでしょうか?

参照URL・・・・(2012年12月7日追記)
 「科学的思考で地球とエネルギーの未来を考える」
 http://special.nikkeibp.co.jp/as/201207/next_nippon/vol6/

参照書籍・・・・(2013年1月6日追記)
 浜矩子著 新・国富論(グローバル経済の教科書) 2012年、文春新書

参考URL・・・・(2013年1月17日追記)
 「デフレからの脱却は無理なのです」・・・(経済の規模を大きくは出来ないと言う主旨)
 http://business.nikkeibp.co.jp/article/interview/20130116/242345/?mlp


【日本の置かれている位置】

日本は、1990年のピーク後バブルが崩壊し、円安と輸出主導で景気回復しました。
アメリカのドル高誘導、資金取込み、借金漬けと過剰消費が、この回復を支えました。
日本は、この間、薄利多売で経済を回してきました。
忙しいだけで、豊かさの実感はありませんでした。
しかし、それも、アメリカの行き詰まりにより、生産過剰になり、この大不況です。
経済学者の野口悠紀雄氏は、日本の景気回復が輸出主導である歪さを2007年に指摘。
2009年4月の著書で、更なる円高、そしてGDPが2007年より10%減!と予測。
新興国は技術面でも日本に迫ってきています。
技術革新だけで競争力を磨く事は、もちろん今後も重要ですが、
それは、大企業や関連する先端企業に限られ、
恩恵にあずかる人は、ごく一部になろうとしています。


【資源消費の抑制と豊かさの両立】

豊かさとは、身の周りで感じることのできる、付加価値の総量です。
付加価値を感じない物をいくら沢山集めても豊かさの実感はありません。
今の日本、たいていの家庭では、物があふれ、それでも豊かさを実感できません。
量の問題ではなく、質の問題になってきています。

経済力の源泉は、付加価値を生みだす力です。
薄利多売で付加価値の総量を確保するか、
希少価値で付加価値の総量を確保するか、
やり方は、それぞれが置かれている位置によって異なるでしょう。

ここで言う付加価値は、あくまで、感じる人の主観的価値です。
従来の経済学では、客観的に需要と供給で決まる市場価値を重んじます。
これは、一つの目安に過ぎません。
豊かさを実感する為の、最終的な価値ではありません。
市場では、二束三文の茶碗でも、
その茶碗だけの特別な趣きを認め、高い価値を見つける文化が、日本にはあります。
千利休が見つけた価値観です。
さかのぼれば、万葉集の歌人も、市場価値以上の価値をそれぞれ見つけています。
同様に、材料費も手間もさほどかかっていないプレゼントでも、
孫の手作りであれば、祖父母には、高額な商品にも劣らない付加価値があるはずです。
プレゼントに込められた思いやりと魂に、祖父母は感動するのです。

思いやりを込めた洗練は、商品の付加価値になります。
マクロ経済学には、この考えが不足しています。
但し、これに喜んでお金を出す消費者は、世界では少数派かもしれません。
この価値を評価できる消費者が広く存在すると言う条件と、
生産者の多くがこの価値に創造的喜びを見出すと言う、
二つの条件がそろうと、内需と生産は拡大し、景気は持続するはずです。
安価な輸入品と付加価値の高い国産品が住み分けするようになるでしょう。
すなわち、産業構造の転換です。

付加価値の高いものを長期に渡って使う。
高度技術を集めたもの、
思いやりと魂のこもったもの、
これを修理しながら長く使うのが当たり前の社会になるでしょう。
付加価値の高い中古品を(骨董品を含めて)流通させる。
目の肥えた消費者が増え、商品の質に対する生産者の認識が転換する。
文化のバックボーンがあり、支える仕組みがあって実現することです。
日本は、今、そこへの最短距離にいます。


【意識改革の必要性】
<教育>
しかし、日本の伝統的文化や魂を、旧弊と十把一絡げに見下す風潮が残っています。
1万5千年以上も継続している日本の重層的文化や魂を、貴重なものとして、
正当に評価する教育や風潮が必要です。
また、これからは、モデル無き世界を切り開いていく必要にせまられています。
型通りの事もできた上で、問題を発見する能力と解決する能力が、大事になります。
それには、思考や行動の型すなわち定石を押さえた上で、
定石を超えた、カオスフラクタルに対する直感、すなわちへの感受性も必要になります。

<働き方>
そして、経営者も含め働く人全てが、顧客への思いやりと商品やサービスに込める魂を、
事業の根幹とし、自らの行動原理として、日々の業務や改善、中長期の計画にあたるなら、
必ずや、新しい時代にも繁盛していけるものと考えます。

<相互扶助>
以上の事は、思いやりに基づく相互扶助を、豊かさの一部とする認識にもつながります。
ただし、注意が必要です。
相互扶助を義務だけで捉えると、心を抑圧するものとなり、豊かさにはなりません。
一方で、良質の社会制度も用意され、どちらでも選べるようにしてあると、
相互扶助は義務を超え、心の温かさ、豊かさになります。
(病気の家族が入院したときの気持ちを思い出して下さい。お分りになるでしょう。自宅療養と
往診だけの時代に比べ、格段の安心感です。その一方、病院に任せきりにするのでなく、家族
に出来る数々の世話で、患者の心は癒されたり、あるいは意欲が増したりします。)

この認識が広まれば、社会制度で行政に過大な負担をかけなくても、将来の不安も緩和でき、
過大な貯蓄の必要もなく、真に有効な内需と国際競争力を維持し、景気が軌道に乗ります。


【バブルの心理 〜 本当の景気回復】

バブルとは、取引価格が実質的な価値から限界を超えて、高騰すること。
近々にしぼむことが避けられない、危険領域に踏み込んでいることを表しています。
付和雷同的に人気が人気を呼び、取引価格が異常高騰することです。
実質的な価値は、効用が金額換算でき、効用の持続期間とリスク、利回り等が見通せれば、
収益還元法で冷静に計算することができます。
あるいは、代替品で得られる効用との比較でも決められるでしょう。
効用には、心理的満足感も含まれます。
なぜバブルが崩壊するかと言えば、付和雷同的な夢想から醒め、冷静になり始めるからです。
取引価格の伸びが止まり、それが更に冷静さを喚起し、価格の下落、投機資金の逃避、
損切り処分へとエスカレートし、暴落へと続きます。
個々の人が自分の価値観で評価し、長期保有するモノには、バブルは無縁です。

<追記 : 本当の景気回復>・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(2012年12月4〜7日)
バブルの発生と終息には、社会の空気、社会の活気も、関係していそうです。
社会を活気づける年齢階層を15歳から64歳までと想定します。
この年齢階層にあたる人口は、「生産年齢人口」と、呼ばれています。
この年齢階層以外の人口は、「従属人口」と、呼ばれています。

昭和末から平成初めの超好景気(バブル)は、過度の金融緩和の影響だけでなく、
国の全人口に占める、この生産年齢人口の割合が、経済成長に強く影響している、
との考え方があります。

生産年齢人口が高まり、従属年齢人口が低下した時期の、過度の金融緩和だったために、
バブルが、より大きくなった。
そして、金融引締への転換と、生産年齢人口の低下(従属年齢人口の高まり)と、
時期が重なってしまったために、バブル崩壊の影響が、より長引いた。
そのように考える事もできそうです。

従って、今、金融緩和しただけでは、なかなか日本経済に活気が出ないのも、うなずけます。
従属年齢人口、特に高齢者が活躍し、社会に活気を生み出す必要がありそうですね。

その能力や体力に応じて周囲に貢献できれば、安心して自分の存在を肯定できます。
ただ、微笑み返すだけでも、周囲への貢献です。
自然に大事にされ、孤独を感ずることもないでしょう。

参考URL 「老いてゆくアジア」の著者、大泉啓一郎氏の対談
http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20121114/239408/?P=1
http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20121126/240071/?leaf_bn
http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20121126/240076/?leaf_bn

インフレターゲット論が、平成24年の総選挙で、取りざたされています。
でも、従属人口比率の問題をどうにかせず、超金融緩和しても、空振りになるでしょう。
国内の消費や設備投資が増えて、経済が活発になるとの憶測でしょうが、本当かな?

社会に活気を生み出していた生産年齢人口の比率が下がっていているのですから、
そのような筋書き通りにはいかず、景気浮揚効果はわずかでしょう。

インフレになるとしても、ダブついた資金が、買占めや投機に向かう方が多くなるのでは?
庶民は、給料の増加以上に生活必需品のインフレが進み、苦しむことになりかねないですね。
国産品より、安い輸入品の方が買われるようになって、国内の産業にはマイナスでは?
インフレターゲット論は、庶民の台所実感が分からない政治家に、もてはやされている?

デフレ退治をする為に、国債大量発行による公共事業の大量発注や超金融緩和をする。
これは、非常に荒っぽい理論であり、格差社会をひどくしかねない事です。

そんな事より、高齢者に元気になって頂き、経済活動、あるいは、公益活動に参加して頂く。
従属人口比率の問題は、高齢者の健康と社会参加の向上で、随分緩和されるはずです。
この方向に社会全体で進むよう、助ける為の、公共投資や金融支援、多様性の活用
本当の景気対策は、こうした地道な政策が要になりそうですね。

税収を増やす為には、消費税を上げない方が良いとの議論もありますが、
複雑すぎて、真偽のほどは分かりません。
「名目GDP成長率が1%アップすると税収はどれだけ増えるか
「消費税増税はなぜダメなのか?三橋貴明 緊急インタビュー」
でも、彼らの主張のうち、名目GDPが増えれば、税収も増えるというのは本当でしょう。
(名目GDPに対して、総税収の比率は30%程度で推移しています。)

公的な社会保障以外の、相互扶助・共助が高まる事で、社会に安心感も広がるでしょうし、
高齢者の社会参加を増やしていけば、GDP(国内総生産)は確実に増えるでしょう。
そしたら、国や地方の税収だって、増えるはずです。

元気でいて頂くことにより、医療費や介護費用の社会負担も軽減できます。
年金の支給金額も、年齢に応じて漸増させたり、健康状態等によっては増額したり、
その様な弾力的な支給方法により、現役世代の負担も軽減できるはず。
元々公的年金は、相互扶助の考え方に、公的助成を付け加えたものですから、
弾力的な支給方法に改めていっても、筋は通ります。
弾力的な支給を可能にする為にも、高齢者の社会参加は不可欠です。

高齢者の社会参加が増えることは、GDPにも税収にも、確実に貢献するでしょう。
ただし、先輩風を吹かせて、自分の思い通りにしようなどと思わないように願います。*
多様な発想・着想を認め、上手に受け止めたうえで、話し合って意見集約する。*
自分だけがリーダーではなく、「全員がリーダー」の気持ちになってもらえるように働きかける。*
それだけの鷹揚さを備えて、高齢者からは社会参加して頂きたいですね。*

・・・・・・(「*」印4行、2013年2月18日追記)


<消費税の増税方法>・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(2012年12月14日)
消費税の増税方法についても、インフレターゲット論と同様、
台所感覚の欠如が見え隠れしています。

低所得者の負担軽減策として、生活必需品の増税分が、後から各家庭に払い戻されれば、
差引きで増税前と同じと言うのは、買い物客の心理も、家族の財布も分かっていません。
買う時に値段が上がっていれば、安物の方へ手が延びるのは、人情です。
家族の財布はそれぞれ違いますから、なおさら、安物へ手が延びやすくなるでしょう。

消費税を増税するにしても、生活必需品については、軽減税率を適用すべきです。
品目毎に税率が違うのは、事務的負担を増やすでしょうが、これを厭がっていると、
生活必需品全般に、安い輸入品の方が買われるようになって、
国内生産者には、大打撃になりかねません。

<消費税増税はやっぱり失策でした>            ・・・・・・・・・・(2014年11月29日)
消費税増税と法人税減税がセットだなんて、とんでもない愚策。
所得税も減税だよと言われたとしても、どっちにしろ、庶民冷遇税制。
これでは、中間所得層がやせ細るばかりで、需要不足や少子化を加速させるだけです。
デフレ脱却とは、全く逆向する政策!
庶民は、大企業や投資家、高級官僚に尽くすだけの経済奴隷にされるのかな?

参考書籍:財務省の逆襲:誰のための消費税増税だったのか(注目は34ページと55ページ) 「消費税増税は法人税減税とセットということは、永田町屋霞が関では常識(中略)組み合わせれば、家計から企業への所得の移転が生じることになる。」
「財政再建と口では言いながら、お互い役人同士でつるんで、無駄な支出を増やしている。」

日本を大事にする企業なら、現状程度の法人税は払えるでしょう!
減税しても、単に投資家に回る配当を増やし、海外ファンドを利するだけ!

行き過ぎた競争原理主義は、中間所得層をやせ細らせ、貧富の格差を広げました。
消費を支えていた中間所得層が減り続けたせいで、
社会全体で消費が減り続け、景気の実感は悪くなり続けています。
比較的良かった2002年〜2007年の「いざなみ景気」のときでも、
単に円安だったから輸出が増えて、消費の減少分をカバーしたのであり、
庶民の実質収入は減り、DGPの数字に比べ生活はむしろ苦しくなりました。
1980年代後半から91年頃までのバブル景気では、
中小企業まで景気が良くて、残業代はケチられる事もなく、
初任給もウナギ昇りでした。
でも、バブルが崩壊したら、赤字か、ギリギリの経営。
長く続く経費削減の時代が始まりました。
1人当たりの仕事量が増えても給料は据え置き、人件費抑制。
経営者も、従業員も、みんなで我慢の経営が続きました。
残業しても、請求しにくい空気で、サービス残業が常態化。
そのうち大企業では、正社員が減らされ契約社員や派遣社員が増えました。
効率一辺倒で、夢を描く事を忘れてしまった時代でした。
2002年から始まったとされる「いざなみ景気」でも、この状態は全く変わりませんでした。

日本は、企業努力の方向を間違えていたのではないでしょうか?
従来型の商品を、経費を削減しながら作り続け、
利益確保するのが、中心目標になってしまい、
働く人達にしわ寄せ、まるで経済奴隷。
その結果、少子化や消費減退。これがデフレの最大要因。

良い仕事をすれば良い値段がつくとか、新機軸の商品に良い値段がつくとか、
これを可能にする経営や智恵を育む教育が、もっともっと広まっていたら、
中間所得層がまた盛り返し、今とは随分と違っていたのでは?
(参考書)
小さな会社こそ高く売りなさい 竹内謙礼著 2014年 日本経済新聞出版社('15年1月7日追記)

              
【財政健全化への道】                       ・・・・・・・・・(2015年1月7日追記)

平均GDPと税金等とのバランス、借金の仕分け、互助の誘導で、行財政改革は可能です。
だから、消費税は8%のままで上げる必要はないし、5%に下げても良いくらいです。
法人税減税は、株価を押し上げても、景気は押し上げないという説が有力です。
課税対象額が日本は低いので本当は実効税率はそんなに高くはありません。
参考:「法人税減税と増税は赤字企業を潰す愚策!
    「法人税減税が招く実感無き経済成長のリスク
    「企業の法人所得課税負担の現状」(内閣府資料、P147コラム2-6に注目)

今まで、税金や社会保険などで集めていた額は、GDPの平均3割だったとのこと。
参考:「名目GDP成長率が1%アップすると税収はどれだけ増えるか
ならば、過去10年程度の平均GDPの3割で支出をやりくりする。
これを基本にしたら良いですね。
景気変動による税収の変動が問題なら、複式簿記にした上で赤字国債も使ったら良い。
つまり、単年度の収支バランスではなく、平均GDPとのバランスです。

国の歳出は、税収などの収入とバランスさせるのが原則ですが、
建設国債は、この収支バランスの例外にされています。
参考:「赤字国債と建設国債の違い
でも、野放しはいけません。借金の仕分けが必要です。
全ての建設投資が将来のGDPに寄与する訳ではないからです。
建設国債は、将来のGDPを高めるものや防災対策等の真の基盤投資と、
主に住民サービスや快適さの為の投資に大別できます。

真の基盤投資か否か丁寧に審査し、合格したものだけ建設国債に認めるべきです。
個人にたとえるなら、年収増に結びつく基盤投資と、住宅投資との違いです。
効果的な基盤投資なら借金も増やせるでしょうが、住宅ローンは無理をすると後が悲惨。
参考:「国土強靭化政策の評価・藤井聡×岸博幸

福祉の充実方法には、公助(税金)、共助(保険)、互助(助け合い)、自助があります。
互助の充実で、公助や共助の増加も緩和できるはずですが、今の政策はまだ不十分です。
太古から続いてきた日本文化には、『互助』の精神が、しっかりありました。
これを壊したのは、『古い日本は全て悪!』と洗脳したGHQやこれに便乗したサヨク。

消費税増税は福祉目的だと国民を騙しながら、やっている事は富裕層の優遇では?
参考:「財務省の本音!増税したい理由(上念司)」
税金を経由しない助け合い、住民同士の直接の助け合い、『互助』をもっと増やすべきでは?
そしたら、騙されて増税、なんて事にはならないのでは?
高齢者に元気でいてもらいながら、助け合う喜びをもっと活用すべきでは?

競争原理至上主義は、やたら勝ち組、負け組を決めたがります。
この原理で進めて行くと、極端な所得格差を生みます。
『富める者が富めば、貧しい者にも自然に富が滴り落ちる』という、
トリクルダウン理論の間違いが、経済学者ピケティにより証明されました。
税制による所得再分配を併用する必要があります。
参考:「経済評論家の岩本沙弓氏解説」(16分頃)
    「格差社会、中国税制度の実体と改革の行方

競争原理至上主義で、勝ち負けをすぐ決める社会は、本来の人間から離れていきます。
それは、人間ではなく、サルの社会に近づいていくこと。
参考:「サル化する人間社会
    仁本主義の時代へ

経済財政諮問会議の民間議員達は、米国型や韓国型の社会を理想にしているのでしょうか?
参考:「藤井聡、経済財政諮問会議の民間議員を論破」(13分30秒付近から)
    「竹中平蔵委員はトリクルダウン説を展開するグローバリスト
    「竹中平蔵×田原総一朗」(27分付近で、トリクルダウン説もどきの展開)

競争原理至上主義は、グローバル企業の幹部には魅力かもしれませんが、国民には最悪。
競争一辺倒ではなく、互助や思いやりを大事にする日本流の社会を保つことが優先。
日本の国柄を大事にした上で、成長戦略の方向を見定めるべきですね。
参考:「藤井聡×本田悦朗・あるべき成長戦略のかたち


【新たな資本主義の段階】

以上が実現するなら、日本は、世界に先駆けて、
資本主義の新たな段階に進む事ができます。
市場経済でありながら、持続可能で、バブルとは無縁、
皆が物心両面の豊かさを実感できる社会が実現できます。


参考書
野口悠紀雄著 モノづくり幻想が日本経済をダメにする 2007年 ダイヤモンド社
野口悠紀雄著 未曾有の経済危機克服の処方箋 2009年 ダイヤモンド社
榊原英資著  大不況で世界はこう変わる 2009年 朝日新聞出版
石平著     私はなぜ「中国」を捨てたのか 2009年 ワック
黄文雄・石平・呉善花著 帰化日本人だから解る日本人の美点・弱点 2008年 李白社
日下公人著 「質の経済」が始まった 美の日本、カネの米中 2005年 PHP研究所
岡野雅行著 カネは後からついてくる 2009年 青春出版社
牟田和恵編・共著 家族を超える社会学 2009年 新曜社
清水義晴共著 変革は弱いところ小さいところ遠いところから 2002年 太郎次郎社

参考URL
週刊ダイヤモンド連載、野口悠紀雄氏コラム 「超」整理日記過去分

加筆:2010年4月15日



【TPPの落とし穴】                  ・・・・・・・(追記:2011年10月30日〜11月3日)

今、TPPのメリット、デメリットを金額で試算するのは無意味。
試算するとしても、どんな条件を付けたら、どんな影響が及ぶか予測する為のもの。
前提条件が不明確では、単なる数字の遊び、博打のようなもの。
それよりも、まず、実現可能な姿として、日本の将来像、方向を描くこと。
「TPPに入ることは、そこに近づくのか?遠のくのか?」という判断が必要。

日本の競争力の源泉は、品質の高さ。
これは、品質向上について、関係者全員が喜んで取り組んでいるから。
ほとんどの国民が高品位な文化に接しているから可能な事。
これを放棄してはなりません。
現場を離れて久しい方々は、これを忘れているのでは?

関税が下がれば、産業の空洞化は防げる?・・空洞化は円高のせいでは?
農業ばかり取上げるのは、問題の矮小化です。
TPPの大問題は、広範な分野で、品質に関わる共通基準が適用される事。
認めれば、日本の独自基準は非関税障壁とされ、他国並みに引き下げられます。
競争力の源泉の重大危機。
参考:TPP交渉の分野別状況(平成23年10月)国家戦略室ホームページより・・(11月8日追記)

景気回復、雇用の創出は、輸出に頼るのではなく、内需に頼るべきです。
輸出に頼る企業が海外に出る、現地生産するのは、自然の流れです。
「老後の不安におびえずに済む社会」・・・・・・・・・・・・・(沈着冷静)
「支え合うことが、喜びと認め合いになる社会」・・・・・・(和解の心根)
「夢や希望に投資できる社会」・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(投機ではなく、進取の精神)
という将来像は、内需振興の鍵になるはず。・・・・・・・(以上、三つまとめて『日本の心根』)
年金問題、少子化問題、新しい公共市民との協働など、地道な積み重ねが必要です。
TPPのような派手な政策で、一気に変えようとするのは、混乱を招くだけ。
輸出入のバランスが崩れている身勝手な「貿易立国」は、
円高を加速させるだけであり、諸外国にとっても迷惑。

参考:「サルでも分かるTPP」(プロジェクト99%)
    「天野統康のブログ 金融システムから見る経済社会論」・・・(追記:2013年3月20日)


【自由貿易の落とし穴 〜 持続可能な世界経済】    ・・・・・・・・(追記:2011年12月13日)

TPP推進論者が信じる、「比較優位」という経済学理論には、悪魔が潜んでいます。
「比較優位」≒「経済の拡大の為には、自由貿易が最も理想的である」
19世紀にイギリスの経済学者リカードによって提唱された理論です。
とかく、古い理論が正しく成り立つ為には、前提条件を狭めなければなりません。

物理学だってそうです。
17世紀のニュートン力学が成り立つ為には、前提条件を狭めなければなりません。
その条件の枠外では、古い理論は役に立たず、
他の理論(量子力学やアインシュタインの相対性理論など)が必要になります。

21世紀の人間が、19世紀の経済理論を金科玉条のように唱えるのは、大変危険。
今、19世紀には想像もつかなかった地球規模の問題が、人類の行く手を阻んでいます。
自然破壊や飢餓輸出、二酸化炭素の過剰排出、
偏狭なナショナリズム国家が貿易黒字を貯めて軍事大国化していく問題等々。
地球規模の諸問題により、経済の拡大には限界が見えてきました。
自由貿易には、タガをはめる必要があります。

参考URL
http://www.fair-t.info/economy-society/freetrade-ricardo.html
フェアトレード情報室「自由貿易理論の問題点 〜 リカードのウソ 〜」

参考URLその2----「静かなる大恐慌」・・迫り来る反グローバリズムの時代
http://business.nikkeibp.co.jp/article/interview/20121122/239902/?mlp
“経済合理性”と“社会の合理性”と、バランスが必要との主旨・・・・・・・・(2012年12月4日追記)


日本が対米黒字を急拡大させたときは、米国との貿易交渉で、かなり譲歩しました。
お陰で、保護貿易の進行は緩和することができました。
ところが、中国共産党は、ほとんど譲歩しようとしないばかりか、
益々強硬になり、周辺諸国を圧迫しながら、軍事大国化の道を走り、米国に対抗。
米国は、堪忍袋の緒が切れて、ブロック経済の方向に舵を切った、これがTPPです。

TPPが、さも自由貿易推進であるかのような、
「平成の開国」と言うキャッチフレーズは、まやかしです。
中国包囲網のブロック経済に近づこうとするものであり、全くの自己矛盾。
中国脅威論、中国包囲戦略の陰に隠れて、米国は、なりふりかまわぬ我田引水。

中国共産党は、1989年以来、一党独裁の正当化が最優先になりました。
情報遮断、情報操作、ナショナリズムの扇情、経済発展の持続で国民を懐柔。
いまや国民は、偏狭なナショナリズムを強め、共産党でも制御できなくなっています。
さて、どうすれば良いのでしょう?

           参考 「なぜ野田さんはTPPに前のめり?」・・・(追記:2013年3月20日)

【ブロック経済の失敗に学ぶ】                 ・・・・・・・・(追記:2011年12月13日)

1929年の恐慌以来、世界の列強国は保護貿易に走りました。
植民地を経済ブロックとして他国製品を排除し、自国の利益を守ろうとしました。

英・米・仏・連合の保護貿易政策に追い詰められた日・独・伊・三国は、
生きて行くために、独自のブロック経済圏を新たに作る必要にかられました。
しかし英米仏は日独伊包囲網をつくり、最後は石油まで止めました。
日本は三国同盟で、連合国を相手に戦争においこまれ、惨敗しました。

しかし、大戦が終わった後、植民地に独立運動が起きて、白人列強国はやがて撤退。
ブロック経済を構成していた植民地がなくなり、人種差別も意味がなくなりました。
結局、戦前日本が望んでいたとおり、自由経済市場になりました。

自由経済のおかげで、日本は復興。
どこにも負けない優秀な商品を作り、世界の庶民の心をつかみ、
たちまち産業経済の面で世界を席巻してしまいました。

参考ブログより抜粋・要約
http://kkmyo.blog70.fc2.com/blog-entry-663.html
「中韓を知りすぎた男・・・戦争に追い込んだブロック経済」(H23年12月10日)

ブロック経済は危険をはらんでいます。
TPPの経済圏が、危険なブロック経済に向かわないとは言い切れません。


【輸入関税の使い道を変えてみたら?】          ・・・・・・・・(追記:2011年12月13日)

ブロック経済を避けつつ、貿易量を維持し、
持続可能な世界経済に向け、各国を協調路線に向かわせる方策を考えてみました。

自由貿易で関税が無くなれば、商品が安くなって、より多く売れ、全体の儲けが増える。
安ければ安いほど多く売れるけど、利幅が減って、全体の儲けが減る。
経済の理屈どうりになれば、儲けが最大になるよう、商品の供給量が自然に調整される。
供給側にも、消費者側にも、双方にメリットがあるのが自由貿易。
と言う理屈ですが、地球規模の諸問題で、経済の拡大に限界が見えてきている現状では、
あえて、自由貿易のメリットにも制限を加える必要があるのかもしれません。

地球規模の諸問題を考慮すれば、商品の供給を全体として調整せざるを得ません。
輸入関税は、その為の簡便な方法の一つであり、「輸入関税=悪」ではありません。
森林破壊を続け、耕地を広げている国から農林産物を輸入するのは、自然破壊の助長。
そのような農林産物には、輸入関税をかけた方が良いのでは?

輸入関税から入る莫大な資金、
値上げしても売れるのであれば、関税分の利益は、本来は輸出国のもの。
それを輸入国が自分のポケットに入れているから、問題がより大きくなります。

例えば、こんな解決策もあるのでは?
●森林破壊を続け、耕地を広げている国の場合
関税から入る資金を輸出業者に渡したのでは、自然破壊の歯止めにならないから、
この場合は、輸出国政府に関税分の資金を渡し、自然保護に使ってもらう。
輸出国側では、農林産物の価格は上昇しないので、自国内の消費者の利益にもなる。
輸入国側では、農林産物の国内生産を後押しすることになります。
●すでに農地が広がっている国からの農産物の場合(米国のような場合)
輸入関税分の資金を、相手国政府に渡し、農家の経営安定化に使ってもらう。
●自国通貨安に誘導したり、軍備拡大で周辺諸国を圧迫している国の場合
輸入関税分の資金を、輸出国内の民間団体から応募者を募り使ってもらう。
使い道を社会福祉や平和活動に限定する。
●関税率の決定・使途の監視
関税率は、輸出元の状況を勘案して、輸入国の判断で決めたら良い。
資金の使途は、国際機関に委託し監視する。
違反を重ねれば、相手国内の別の組織に資金を交付する。
●輸入関税の総量規制
輸入関税は、世界全体の経済成長を抑制します。
関税率を野放しにすれば、急激な経済縮小が起こり、世界恐慌になります。
経済規模が大きい国ほど、世界経済への責任があります。
国の経済規模に応じ、全輸入額に対する全関税額(平均の輸入関税率)の抑制が必要。
前年の統計を基に、GDP何百兆円なら、平均の輸入関税率を何%未満にするとかです。
分野別、相手国別の関税率は、輸入国の判断に一任したら良いのです。
そうすれば、どの輸出国も、国際協調を優先して考えるようになるでしょう。

如何でしょうか、
このような仕組みを多国間の貿易協定で創っては?
素人だからこその奇抜な発想。
素人のたわごととして、一笑に付しても良いのでしょうか?


【TPP、前ノメリなのは誰?】                 ・・・・・・・・(追記:2011年11月14日)

・・・・・・・(「*」印:2012年2月7日修正)

円が高くなって、値上げせざるを得ない日本製品、
ウォンが安くなって、値下げできる韓国製品、
日本からの輸出品にかかっている関税率、

TPPで関税撤廃など、本当は、焼け石に水、
円高、ウォン安で、韓国のライバルメーカーに水を開けられ、
キリキリ舞いしているのが、国内で完成品を組み立て輸出している大企業。

その一方、今まで大企業の下請けをしていた中小企業は、
高度な技術と高品質な部品を供給していながら、大企業の値下げ要求に屈するか、
さもなくば、大企業の海外進出に、一緒に付いていくか迫られています。

ところが、第三の道を選び、成功している中小企業もあります。
海外企業に販路を求め、円高を跳ね返して輸出にも成功している企業です。
良い部品、良い材料、良い生産機器を求め、海外企業が、はるばる訪ねてくる企業です。
今、実際のところ、貿易黒字の多くを稼ぎ出しているのは、そんな企業。
日本の先端的中小企業が、海外工場の生産さえも支えていた事が、
今回の東日本大震災で、白日の下にさらされました。

そんな強い中小企業の、競争力の源泉は、
技術の向上、品質向上の努力を、何年も何年も、あきることなく、
社員全員が、喜んで、続けていくこと。
一朝一夕には真似できないこと。
海外企業が、逆立ちしても、なかなか真似できないこと。
安定した地域環境、支え合い、認め合う地域風土があって可能なこと。

『TPPで、日本再生!』と、民主党幹部が言うよりも、
そんな強い中小企業が伸びるよう、
東日本大震災からの復興をスピードアップさせるのが、本当の『日本再生』では?
TPPに入る事は、アメリカ流の旧式資本主義の弱肉強食、格差社会の拡大では?

下請けいじめの上にアグラをかいていた大企業が、今は苦境!
経済団体で大きな顔をして、国内の大量生産ラインに頼っている企業です。
海外企業にすぐに真似されるような製品を国内で作っている企業です。
彼らは、広告費をばらまいて、マスコミを押さえているから、
本当の事が、なかなか明らかにされず、国民的議論が深まらない。

『焼け石に水でも、無いよりはましだ。もしかして円安になったら、役に立つかも。』と、
大企業と企業内労組が、政府に泣きついているのが、TPPの本当の構図です。
アメリカやEUの手前、円安には、できないのです。(遠い未来は分かりませんが。)
焼け石に水の事で、どれだけ混乱させれば、気が済む?

国内の生産ラインに乗せるには、海外でも作れる量産品は無理。
挑戦的な製品群を、多品種少量生産()で生み出しながら、トレンドの芽生えを探し、*
目の肥えた日本市場で試験販売しながら、戦略的に勝負できるコンセプトを探し当てる。*
そして、他を圧倒するほど大きな魅力を持った新商品を開発する。*
完成品メーカーとしては、以上の流れで商品開発までは国内で行い、*
部品メーカーや生産装置メーカーは、国内では新規または高度な物作りに特化。*

完成品メーカーは、狙いを付けた新商品を、海外市場向けにもコーディネートし直し、
基幹部品、基幹材料、生産機器を国内から輸出し、海外工場で大量生産する。
あるいは、国内で個人技能を高め、極限まで生産効率を追求して、競争力を維持する。*

そんなビジネスモデルになっていくのは、自然の流れ。
アイポッドアイフォーンアイパッドは、勝負できるコンセプト開発と商品開発の成果。*
昔は、ソニーがこんな魅力的な新商品を世に出していたのに、今は見る影もない。

そんな自然の流れに逆らおうと、
ピントはずれな『日本再生』を叫び、
TPP交渉に前のめりになっているのが、今の政府民主党幹部。

TPP参加を叫んでいる大企業幹部の顔を良く見てください。
硬直化し、官僚的になってしまっていて、
柔軟な構想力、創造性、企画力は、ほとんど漂っていない?
その企業の社員は、『全員がリーダー』の気持ちになって、意欲的に働いているのでしょうか?
官僚的な幹部が、寄らば大樹の陰と、すり寄って来る社員ばかり引き立てているのでは?

参考URL
http://www.jftc.or.jp/kids/kids_news/japan/item.html
http://www.youtube.com/watch?v=K4n4xtOTjCw&feature=related
http://www.youtube.com/watch?NR=1&v=-fH-yoh2tAw
http://www.youtube.com/watch?NR=1&v=TxWw7vUYxwY
http://www.youtube.com/watch?v=9amjatPD_l4&feature=related



【TPP交渉、簡単に離脱できる?】              ・・・・・・・・(追記:2011年10月30日)

「国益にそぐわないと思った時点で、交渉離脱もあり得る。」
と、民主党幹部の発言。
そんな簡単なことなのでしょうか?

そのとき、日米間には、決定的な亀裂が!
安易に態度を変えられると思うのは、民主党の悪い癖?
沖縄の基地問題も、沖縄県民に多大な迷惑をかけ、米国の信頼も損ねました。
今度、TPP交渉で同様の変節をしたら、米国との溝は決定的に!
日本と米国の間を引き裂こうとしている国の思う壺!

途中で安易に交渉離脱する位なら、初めから交渉に参加しない方が賢明。
交渉参加は、相手国の政府にも国民にも期待を抱かせます。
離脱には、相手国の政府にも国民にも、
納得してもらえるだけの事情説明が必要。・・・(例えば、政権交代とか)
国益とは言っても、わがまま過ぎると受け取られる変節は、信頼感を打ち砕く!

交渉に参加するには、それなりの覚悟が必要なのに、安易過ぎるのでは?

参考:新潟日報2011年10月30日第3面より
「途中撤退論、米がけん制」
ペルーで開かれていた米国など9ヵ国による環太平洋連携協定(TPP)の第9回拡大交渉会合が28日、閉幕した。米国のワイゼル主席交渉官は記者団に、日本国内でTPP交渉への参加後に協議から撤退することも可能だとする意見があることに対し、「真剣に結論をだすつもりのない国は交渉に参加しないでほしい」と述べ、牽制した。


【TPPを離れて我が道を行く】                 ・・・・・・・・(追記:2011年11月15日)

TPP、困難で危険な交渉です。
日本の理想実現の為の戦略を描くのが先決。
日本の土俵に乗りそうもないと、事前協議で判ったら、交渉入りを見送る。
乗りそうなら、なおさら気を引き締める。
気迫をもって、理想への布石を打ち、死守する。

ただし、この道は、もう、ほとんど実現不可能。
アメリカの現政権は、国内の求心力を失い、
なりふり構わぬ我田引水をしようとしているからです。
日本人の心根、理想は、高度過ぎて、他国と大きな落差があるからです。
速やかに交渉入り中止を表明すべきです。

FTAAP(アジア太平洋自由貿易圏)への道のりは、生半可なものではありません。
「たとえ独りでも、我が理想を目指す」という気迫をもつ。
先ずは単独でも理想社会を実現してみせる。
日本には、その実力があります。
他国は、日本の足跡を後ろからたどって来る。
長い目で見れば、この方が、国益に適っています。
他国からも尊敬され、感謝されます。


【市場統合と日米文明の違い】                 ・・・・・・・・(追記:2013年2月18日)

人類の歴史の教訓から、各国で共通して尊重されるべき価値観は、幾つかあるでしょう。
でも、これは他国からの押付けではなく、国民自らの目覚めを尊重すべきと思います。
何を優先する社会にするかは、国の成り立ちや国民性等に違いがあり、
各国の判断に委ねるべきです。
それぞれ個性のある国々が世界にある事を、私は歓迎します。
多様性があった方が、ストレスに強いというのは、自然界の一般的傾向です。
多分、世界経済においても同様だと思います。(多分、経済学では最新研究分野

全世界に適用されるべき、最小限の共通ルールや最小限の規制緩和は、
WTOで決めれば良いです。
それ以上に、ルールを共通化したり、規制を緩和したりするのは、
国と国との個別交渉に委ねた方が、世界経済全体の多様性を維持できると思います。

今回のTPPは、そのような多様性を徹底して排除しようとします。
全ての関税を撤廃し、広範な分野で規制や基準を統一する。
オバマ大統領は、アメリカとシームレスで繋がる市場形成を目指すと宣言済みです。
最終的に目指しているのは、通貨統合手前のEUのような市場統合なのでしょう。
EUは、ローマ帝国とキリスト教、中世封建制に由来するヨーロッパ文明の共通性を持ち、
国同士の違いは少なかった。
これに比べたら、日本文明とアメリカ文明の違いは、ずっと大きい。
(中世において自制心が育った文明と、そうでない文明)
『シームレスにする為』のTPPには無理がありすぎて反対です。

仮に、TPPの枠組みから外れることで、冷遇される不幸があるとします。
また、TPPに入る事で、日本らしさが失われてしまう不幸があるとします。
二者択一を迫られるとたら、私は日本らしい社会のあり方を大事にしたいです。
もし、市場統合を目指す必要があるなら、
日本らしい社会のあり方に共感してくれる国々と、進めたら良いと思いますね。

参考書
日下公人著 「超先進国」日本が世界を導く 2012年 PHP研究所


【なぜ野田さんはTPPに前のめり?】            ・・・・・・・・(追記:2012年11月21日)

何だかんだと賛成論のもっともらしい理由が世間に宣伝されていますが、ほとんど無意味。
実態は反対論者にすでに論破されている事を繰り返しているだけです。

アメリカは、自国を中心としたブロック経済化で中国包囲網を築くこと、
その陰で我田引水し、自国企業に有利な経済ルールを押しつけること、
この一石二鳥を狙っている訳です。

TPPのルールは、アメリカンスタンダードであっても、
持続可能な世界経済を築く為の、本当のグローバルスタンダードではありません。

それでも何故、野田さん達がTPPに前のめりになるかと言えぱ゛、
結局のところ、中国の軍事大国化の前におびえるだけで、
独自の防衛戦略が描けず、米国に頼りっぱなしということ。

2010年9月、尖閣諸島沖で中国船が日本の巡視船に体当たりしてきた事件に対し、
管政権の狼狽ぶりを想い返せば、明らかです。
その後同年10月に、唐突に飛び出したのが、管政権のTPP参加検討宣言。
『日本市場を丸ごと差し出しますので、どうか、中国の脅威からお守りください。』
口には出せない本音、最大の眼目だったのでは?と、想像します。

『日米同盟の深化』などと、野田さんは、意味をぼかしていますが、
日米同盟については、『深化』より、むしろ『進化』の方が必要でしょう。
在日米軍の地位協定見直しや集団的自衛権の合憲化などです。
『深化』の方は、アメリカ丸抱えの安全保障の深化であり、対米隷属化の深化です。

冷戦時代より、今の方が、日本の安全保障は、危機に瀕しています。
冷戦時代のソ連の方が、今の中国より、よっぽど大人だったのでは?
冷戦時代、安全保障を棚上げにしていても、経済建設を追求できていましたが、
隣国からの脅威が迫る今、
もはや安全保障抜きには、経済の方向が定まらなくなっています。
安全保障の課題をいつまでも棚上げにしているから、TPPに頼りたくなるのでしょう。

<TPPでの交渉力>                         ・・・・・・・(2012年12月19日追記)
交渉なのだから、初めから参加しないと言う選択はおかしいと言う政治家もいます。
日本が主張し、持続可能な世界経済の為のルールになってけば、良いですが、
「アメリカン・スタンダード」の煮え湯を飲まされるのが、オチです。
TPP交渉参加を主張する政治家に限って、厳しい国際交渉の経験が無い?!

日本は、アメリカに対して、決定的な弱味を握られています。
この点を突かれたら、主張を弱めて、煮え湯でも飲まなければならない。
この弱味は、何かと言えば、安全保障です。

本当の独立国家同士の、対等関係の日米安全保障体制ではありません。
一緒に行動しているアメリカ軍が先に攻撃されても、自衛隊は敵に反撃できない。
アメリカにオンブにダッコしながら、この条件では、本気で日本を守る?
アメリカは、日本を守るというより、自分の敵になったら、軍事行動をするだけです。

中国の脅威が高まり、切羽詰まっている中で、急き立てられるようにアメリカと交渉しても、
まともに、日本の主張が通る訳がない!!

厳しい交渉を乗り切るためには、
まず、少なくとも、相手と対等な関係になる必要があります。
有利な立場になれるに越したことは無いですが、現実には難しい。
どんなポジションで、なにを強みに、どうやって弱味を補って臨んだら、
少なくとも対等に持ち込めるか。
こうした算段も無く、せき立てられるようにして交渉に臨んだら、ボロ負けは必至。

安全保障における対等な関係作りが先決で、TPP交渉は、その後です。
たとえ、バスに乗り遅れて(TPP不参加で)、不利な状況が生まれても、
煮え湯を飲まされて、社会がメチャクチャになるよりはマシです。


参考書籍:
渡邊頼純著 TPP参加という決断 2011年 ウェッジ
石平著 中国人がタブーにする中国経済の真実 2011年 PHP研究所

参考ページ:「憲法改正は前文から(改正試案)


【マネー津波〜超資産家による政治支配】     ・・・・・・・・(追記:2013年3月20日)

TPPから離脱することになっても、悲観する必要はありません。
TPP経済圏とも中国経済とも、距離ができても、悲観する必要はありません。

今、超金融緩和により、世界にはマネーが溢れかえり始めています。
再び、バブルが雪ダルマ式に膨らみ始めようとしています。
溢れたマネーのおこぼれが、広まって、
一時的に、景気が良くなるような幻想に沸くかもしれません。

しかし、バブルの乱高下により、ほんの一握りの人々にマネーや資産が集中します。
その他大勢が、バブルに浮かれて投機や消費に狂奔している最中に、突然のバブル崩壊。
一握りの人々は、事前に察知して上手く売り抜け、大儲け。
値下がりしてから上物だけ買い戻し、チャッカリ資産を増やします。

こうして生まれた一握りの超資産家が、自分の都合に合わせて政治状況を裏から支配する。
はたまた、強欲経営者の身勝手で傍迷惑な儲け主義で、健康を蝕む環境汚染や社会破壊。
強欲資本主義を推し進めていけば、99%の人々は、どんどん奈落の底に向います。
社会は、裏から一極集中支配されることになりかねません。

社会の混乱を避けるために、
弱者の支援や、健康被害の対策、破綻企業救済に、政府が躍起になる一方、
強欲資本家は、貧乏は自己責任と、素知らぬ顔で開き直ろうとする。
税収を増やせぬまま、借金を増やした揚句の緊縮財政で、貧乏人は窮地に追いつめられる。

アメリカも中国も、強欲主義の行き着く先は、そんなおぞましい社会かもしれません。

こんな事を続けていたら、TPP経済圏も中国経済も、奈落の底に沈んでいくでしょう。
日本は、策を弄し過ぎず、落着いた態度で、彼らをナダメすかしながら、
彼らのヤリ方とは、一定の距離をおいて付き合う方が、賢いでしょうね。

参考書籍:
日下公人著  日本精神の復活 2013年 PHP研究所
カレン・ヴァン・ウォルフレン著 アメリカとともに沈みゆく自由世界 原本2010年 徳間書店
長谷川慶太郎他共著 日本経済、崖っぷちの決断、アベノミクス後を読む 2013年徳間書店
天野統康 サヨナラ!操作された「お金と民主主義」なるほど!「マネーの構造」がよーく分かった
                                    2012年 成甲書房
参考URL:「サルでも分かるTPP」(プロジェクト99%)
       「天野統康のブログ 金融システムから見る経済社会論
   (追加)「だからリフレは、本当にヤバイんです」・・・(2013年3月27日追記)
   (追加)「こんなに違うTPPとWTOの交渉」・・・(2013年3月27日追記)
   (追加)「中国とは徳で接せよ」・・・(2013年3月27日追記)
   (追記)「デフレは賃金を下げ過ぎた経営者の責任だ」・・・(2013年3月29日追記)
   (追記)「自滅するアメリカ帝国・一部(政治プロセスの浅はかさ)」・・(2014年3月31日追記)


【本質的議論がようやく新聞登場】     ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(追記:2013年5月18日)

本日2013年5月18日、TPPの本質を問う二つの記事が、ようやく地方紙(新潟日報)に登場した。市場原理主義に絡め取られている全国紙には、まだかも?

●「TPPめぐる対立」
 と題し、佐伯啓思(京大大学院教授)の論説(5月18日24面)

論旨は、「TPPも煎じつめると経済をめぐる二つの価値観の対立」
一つは、近年の米国の経済面に対する価値観、基本的に市場競争普遍主義と言うべき立場。個人が自由に競争して自己利益をめざす結果として、効率性が高まり経済が成長する。

もう一つの価値観は、日本の「経国済民」に近い、経済とは一方で競争によって効率性を達成すると同時に、他方では社会生活の安定を確保する。食糧・医療・教育・福祉など国内同質サービスという基本は、市場競争一辺倒では困難。

昨年来、賛成、反対の両論がとびかい、世論は二つに割れている。
大変に判断し難いのは、もっぱら議論が「利害得失」のレベルで行われるからである。
まだ、ルールが定まっていないのだから、利害得失を推定できるはずがない。
利害得失の議論ではなく、もっと原則的で重要な論点である、価値観がなおざりにされている。

●「TPPは米の対中政策、食の安全死守強調」
 と題し、東郷賢(武蔵大教授)の講演要旨(5月18日6面)

米国の2010年貿易赤字の43%は対中貿易で、対日貿易赤字は9%でしかない。
米国は自国に都合の良いルールに中国も従わせて取引したい。
中国の市場をこじ開けて米国製品を売る。
TPPの魅力を高めるため、日本の参加が成否を決める。
日中韓FTA交渉は、最終的に中国を巻き込むため、アメリカの意向を受けた流れ。
TPPは食の安全性で問題がある。
交渉参加はいいが、国民の健康や安全を守るための取り決めは死守しなければならない。

しかし、現実のTPP交渉は、そうなりそうもない。

●「TPP初交渉は数日間、7月会合、日本の延長意向通らず」
 と題し、共同通信シンガポール配信の記事(5月18日1面)

7月の拡大交渉会合が開かれるマレーシアの政府高官が、17日に明らかにしたところによると、日本が7月の会合に参加できたとしても、最長でもせいぜい終盤にさしかかった数日になりそう。本格的な交渉参加は9月の会合から。「10月のTPP基本合意の目標が迫っている。日本の要望に応じて会期を2、3日延長することはできるかもしれないが、交渉会合全体を後ろにずらすことは不可能だ」と明言。

●何が、真の国益なのか?国民は幻惑されている

昨年末の衆議院選挙、安倍・自民党総裁は、
「聖域なき関税撤廃のTPPには反対」と、目くらましのキャッチフレーズで、国民を煙に巻いた。
「関税に聖域を許容するTPPには賛成」と言いたかったのだが、言い回しの妙。
いかにもTPP反対派に歩み寄るような誤解をふりまいた。
TPPの本質的争点は、関税と言うより、経済に対する価値観の問題であるが、
選挙のキャッチフレーズとして使うには、分かり難いのだろう。

7月のTPP交渉に参加できても、情報収集と疑問点の確認が関の山で、
日程終盤に日本の提案が取り上げられるとは、常識的にはあり得ない。
9月のTPP交渉で日本の提案が取上げられたとしても、最後の微修正。
卓袱台返しのように、根本的な議論の蒸し返しはあり得ない。

日本の真の国益、市場経済一辺倒では守ることができない「日本流の価値観」を取るか、
「米国流の価値観」を取るか、この二者択一の選択を10月のTPP交渉で迫られる。
安倍政権は、「米国流の価値観」を蹴飛ばして脱退すことはできるのだろうか?
できなかった時、国会は、その条約を批准するのだろうか?

当面は厳しくとも、「日本流の価値観」を守った上で、世界に打って出た方が、
長い目で見れば、日本の強みが発揮され、国力を保てるはず。
その覚悟が、代議士に、そして国民にあるのだろうか?

7月の参議院選挙で、「日本流の価値観」=「思いやりの経国済民論」を守るか否かが、
国民に問い直されるのであれば、民主主義は機能するだろう。
だが、巧妙にカモフラージュされたままでは、民主主義は機能しない。
うやむやなまま、国の根本にかかわる重大な問題が、なし崩し的に決められてしまう。


【資源エネルギー高騰時代】           ・・・・・・・・・・・・・・・・(追記:2014年4月11日)

シェールガスによって、一息ついていますが、やはり化石燃料です。
遅かれ早かれ、底をついてきます。(シェールガスも壁にぶつかっています
有限な資源である以上、この資源を持つ国は、戦略的な駆け引きに使うでしょう。
今は安く利用できるように見えても、将来とも安いとは限りません。

また、石油に比べて、炭素より水素の割合が高いので、CO2排出は少ないものの、
ゼロではありませんから、使いまくると地球環境が持ちません。
何らかの形で、CO2排出に対してコストを支払うことになるでしょう。
資源もエネルギーも、どんどん高くなっていきます。

再生可能なものなら大丈夫かと言えば、そうではありません。
再生装置を入手するコストが高かったり、再生時に沢山のエネルギーが必要ならば、
これに連れ高くなっていくはずです。

資源エネルギーを割安で消費できた時代に比べたら、何でも割高になり、
平均的な生活水準は切り詰めて行かざるを得ません。
(無尽蔵のエネルギーを低コストで使える夢のような時代が訪れる迄は)

この趨勢に対して、生活水準を維持しよう、あるいは高めようとすれば、
高付加価値の仕事に頼ることになるでしょう。
今までより、処理能力の高い方法で仕事をこなす。
(例えば、IT技術や新装置を使いこなして効率を高める)
あるいは、創造性や芸術性を高めたり、個人の気持ちに寄り添い、付加価値を高める。
あるいは、技術革新により、今迄にない商品を生み出す。

その一方で、付加価値を高めることが出来なかった人や産業をどうするか、
これが大きな課題になります。
個人としては、物質的な面での生活水準を切り詰めながらも、精神的な満足をいかに保つか、
社会としては、貧しい境遇の人々や付加価値の低い産業をどうするか、
社会の安定や安全保障の為に、一定程度は保護するかです。


【未来社会】              ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(追記:2014年4月11日)

やむを得ないと割り切りながら、貧富の格差をどう受止めるかが課題です。
助け合い、支え合い、心の籠った贈り物や持て成し、そして哲学なり信仰。
物質的に恵まれなければ、心に温かさを運んでくれるものが求められて行くでしょう。

未来の社会は、どこに向かって行くでしょう?
一つは、貧富の格差をバネに、闘争心を掻き立てる、優勝劣敗の競争社会。
もう一つは、格差を受け入れつつ、物心両面の社会基盤を公的に整える緩和社会。
緩和社会では、貧富の格差に応じた累進税率が当然でしょうが、
金持ちが社会の隅々まで操る極端な競争社会では、これは忌み嫌われるでしょう。

どちらが良いか、これは考え方の問題かもしれませんが、
私は、緩和社会の方が、人間本来の性質にかなっていると思います。
生物的・心理的な進化の面で、人間は1万年以上前からほとんど変わっていないようです。
この時代は、助け合い支え合って次世代を育て、集団を維持するのが基本だったようです。
(参考書:家族の起源 山際寿一著、1994年、東京大学出版会)

この基本を踏み外した所では、集団は、いずれ維持し難くなるでしょう。
今、グローバル化により、世界中が競争社会の要素を高めようとしています。
他国は分かりませんが、日本は多分、どこかで立ち止まり、緩和社会に向かうはずです。
技術文明を発達させつつ、この基本を残しているのは、世界のどの国より日本です。

いつになるか分かりませんが、科学技術が進歩し、
無尽蔵のエネルギーを低コストで使いこなせる時代が訪れるでしょう。
私達のいる宇宙空間には、ダークエネルギーとダークマターが満ちています。
このダークエネルギーを人為的に取り出し、大いに活用できる時代になれば、の話です。

それは、同時に、高度な宇宙文明と肩を並べる時代です。
(宇宙のどこかに、そのような文明があると仮定してですが)
そのような時代になっても、優勝劣敗の競争社会のままでは、
他の宇宙文明と紛争を起こし、より高度に発達した文明に駆逐されてしまうでしょう。
だから、やっぱり、緩和社会が未来に続く社会になるに違いありません。

参考 運命は変えられる・・・(2014年4月29日追記)
    【仁本主義の時代へ】・・・(2014年12月27日追記)>





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