今、日本の国が、進むべき方向を見失って迷っているようにも見えます。
日本人として皆が持っているはずの魂や原点を、いつの間にか見失い、
どこへ向かって進もうか、迷ってしまっているのでしょうか?
自分に迷いが生じるのは、自分の魂の原点を見失っているから。
自分の原点に立ち戻ることで、魂の原点が見えてきます。
元々もっていた魂の原点が見えやすくなります。
魂は、年輪を重ね、少しずつ成長していきます。
原点からどのように年輪を重ねてきたかを振り返ると、
現在の自分の中核になっている魂が、もっとはっきりするでしょう。
今、日本が歩んできた道のりを原点から振り返り、棚卸する時期なのかもしれません。
そのとき、立ち戻る日本の原点は、どこにあるのでしょうか?
それは、明治維新が原点でしょうか?
それとも、江戸時代が原点でしょうか?
戦国、室町、鎌倉、平安、奈良、飛鳥・・・・
稲作が盛んになった弥生時代が原点でしょうか?
縄文時代こそ、日本の魂の原点、日本の原点ではないでしょうか。
旧石器時代の後、一万年以上も続いた縄文時代。
その後、現代までの時間は、せいぜい三千年、
所によっては、もっと短くなるでしょう。
日本人の祖先の大部分は、
縄文時代が終わるまでに、日本列島にやってきました。
縄文時代の一万年間に、日本列島内外の交易や移動により、文化の交流が起こり、
原点となる日本文化の基本的部分が醸し出されています。
オヤッ、と思うかもしれません。
弥生時代に新しい種族が大陸から入り、縄文人を押しのけていったのでは?
学校で、そう教わった時代もありましたが、事実は違います。
縄文時代は、文明と言って良いほど、高度に発達した社会をつくっていました。
(参考書:末尾参照)
弥生時代に、新しい技術や宗教、文化を携えてやって来た人達は、全体としては僅か。
縄文人がその新しい技術を吸収し、数百年かけて普及していったのです。
ちょうど、種子島に鉄砲が伝わった時、製造技術をまたたく間に吸収し普及したように、
あるいは、明治維新に、西洋の技術や制度、文化を瞬く間に吸収普及したように。
文化の表面的な部分は、だいぶ変わったかもしれませんが、基本は変わっていません。
後からやって来た人達も、縄文文化の中に溶け込み、
縄文人も、新たな宗教や文化と妥協し、習合していったのです。
そして、縄文文化は、綿々と受け継がれ、今も、息づいています。
縄文文明一万年の蓄積を原点として、現代に至る2〜3千年の文明が付け加わったのです。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(2010年6月13日追記)
歴史を振り返ると、人は、重要な岐路に立ったとき、後で悔むような失敗を繰り返しています。
それまでの惰性や当時の空気に流され、広く深く考えることなく、右往左往しているうちに、
自分では後戻りできない所に来てしまい、存亡の淵に立っていたと言う失敗。
個人あるいは集団として、奢り高ぶった末に、孤立し、身を滅ぼすことを繰り返していました。
普段は、下手に考え立ち往生するより、直観の方が素速く、当たっていることも多いです。
しかし、ここぞと言う時は、充分考え尽くし、話し合った後、
残る選択肢だけ、直観に委ねたいものです。
結果がどうであれ、納得できますが、そうでないと、いつまでも後悔が残ります。
なぜ、充分に考え尽くし、話し合うと言う事が、できないのでしょう?
普段の何気ない判断や行為を無意識やその人の魂に委ねても、大きな間違いはありません。
しかし、その無意識や魂が傷ついていたら、自分の魂を誤解していたら、
無意識に沈んでいる原点に蓋をして、気づかないふりを続けていたら、
広く深く考えようとしたとき、まともに考える事は、できないのではないでしょうか。
一万年に及ぶ縄文時代の魂、日本の原点は、
日本文化で育った私達に確実に受け継がれています。
しかし、この縄文時代の文化や魂を、日本の原点を、
今までは軽視し、蓋をしてきたように思えます。
混迷の時代、今こそ、日本の原点を取り戻すべき時です。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(2010年7月5日追記)
参考書:
岡村道雄著 縄文の生活誌 日本の歴史01 2008年、講談社学術文庫
橋口尚武著 海を渡った縄文人 1999年、小学館
河井智康著 日本人とさかなの出会い 2001年、角川書店
吉田敦彦著 縄文宗教の謎 1993年、大和書房
宮本常一著 日本文化の形成 2005年、講談社学術文庫
水谷仁、他編 日本人の起源 最新版 2009年、ニュートンプレス
グラハムハンコック著 神々の世界(下) 2005年、小学館
安部清哉著 日本語のルーツをさぐったら 1997年、アリス館
大野 晋著 日本語の源流を求めて 2007年、岩波新書
安本美典著 日本語の起源を探る 1985年、PHP研究所
田忠信著 日本人の脳 1978年、大修館書店
内田樹著 日本辺境論 2009年 新潮新書